D.I.P.

Dyckia(ディッキア)の水やり【基礎編】

 

植物を育てる上での三大要素

植物育成において必要な三大要素は「日照」「水」「用土」。
一見とても単純なように見えまずが、それぞれの選択肢は数限りなく、無限に広がっていると言っても過言ではありません。
 
日照条件や用土の配合、水やりのタイミングや量。
それらは季節や育成環境、その植物をどう育てたいのかという目的によって左右されます。
 
試行錯誤を繰り返しながら、自分の所有する育成環境において、どういったバランス・条件が適しているのかを探っていく。
それも植物育成における楽しみの一つだと思います。
 
私も今まで多くの植物を育て、それと同時に枯らしてきました。
枯らしてしまった植物はその原因追及を行い、そして次に活かす、という事を辛抱強く繰り返してきたので、今では植物育成の腕はそれなりに上がったのではないかと感じます。
 
ただ、失敗の過程をなるべく踏まずに植物育成における経験値を上げる、という事ができればそれが一番だと思います。
折角こだわって選んだ植物が枯れてしまった時の悲しみは、できれば味わいたくはないものなので…。
 
特にビザールプランツは比較的価格帯が高く、ものによっては価格が数十万というものもありますので、育成方法による失敗はなんとしても避けたいところです。
 
ただ残念ながら、この植物育成において必要な三大要素「日照」「水」「用土」を植物にどう与えるかに関して、正解というものはなく、自分で探っていくしかないというのが鉄則です。
 
植物育成において数十年のベテランでさえ、この三つのバランスを見誤ったが故に大切な植物を枯らしてしまう、なんてこともある程、難解で奥深い世界です。
 
園芸業界において、江戸時代から言い伝えられている「水やり三年」という言葉は伊達じゃない、という事です。
※実際に植物育成を始めた頃、全国の有名園芸店に足を運び、水やりや用土の配合に関して聞き込みを行いましたが「育成環境によるので、確実なことは言えない」という回答がほとんどでした。
 
また、それがビザールプランツともなれば、その難易度は更に上がります。
 
日本からは遠く離れた異国の地で育つ珍奇な植物達。
 
新しい植物を手に入れた際は、その植物の出生地を調べ、本来どのような環境で育つ植物なのかを知ることが重要、なんて事も言われます。
 
しかし実際に足を運ぶことなく、文章や写真などから現地の環境や気候を理解するのは至難の業です。
 
正直どんなに労力をかけ、想像力を働かせても、実質その一割も理解できてないというのが実際の所ではないでしょうか。
更にそれを自身の育成環境に反映させる、というのも中々の難易度です。
 
「そんなことはない!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、マダガスカルやチリの気候を記事だけで想像することは、残念ながら想像力の乏しい私には不可能でした…。
 
そんな育成難易度の高い植物が多いビザールプランツですが、ご安心下さい。
ディッキアに関しては、生命力が強く丈夫な植物です。
 
なので、ディッキアの育成において、そこまで神経質になる必要はありません。
※例えるなら(言葉のチョイスはよろしくないですが)ディッキアは雑草並みの生命力を持っていますので、生存させること自体は容易です。
 
ある程度のポイントを押さえてさえいれば、初心者でも上手に育てる事ができます。
 
そこで今回、ディッキアの水やりに関して「水やりの目安」や「水やりをする際にどんな事を考えながら行うべきか」というポイントを紹介していきます。
 
記載内容として、趣味家である私個人の育成による経験則だけでなく、実際にプロとしてディッキアを育てられている複数名の育成家様お聞きした内容となります。
 
実践的なものとなっていますので、皆様の育成のご参考になれば幸いです。
 
※ただ前述した通り、育成条件や種類によって水やりの方法は異なるため、あくまで「目安」としてご理解下さい。
 
 

ディッキアの水やり(基本編)

その荒々しい見た目からディッキアはサボテンや塊根植物の様に「水をあまり必要としない植物」と誤解されがちです。
 
しかし実はその逆で、ディッキアは水を非常に好む植物です。
 
春~秋の成長期にかけては毎日水やりする人もいるほど。
長期的に腰水状態で管理しているという育成家様もいらっしゃいます。
 
なのでディッキアを育てる上で「ディッキアは水を好む」という事を念頭に置いて育てていけば、大抵は健康に育ちます。
 
しかし、かといって頻繁に水やりをしなければ枯れてしまうのか?というとそうでもなく、三日に一度、一週間に一度、二週間に一度の水やりでも枯れる事はほとんどありません。
※植物の状態や気候によって水やりの必要性が変化するため、植物育成において「三日に一度」などルーティーン期間を決めて水やりを行う方法は奨励しません。
 
それでは、具体的なディッキアの水やりにおけるポイントを「水の与え方」「タイミング」「水の量」「時間」の四つに分けて記載していきます。
 

水の与え方

ディッキアの水の与え方として、根本への水やりを行うように意識をして下さい。
 
ディッキアの上から水をかけると、水が葉に弾かれてしまい、十分な量の水が用土に行き渡らない為です。
 
またディッキアの場合、勢いよく葉に水をかけてしまうと、トリコームが剥がれる事があります。
 
トリコームとはディッキアの葉を覆う、白い粉や毛のようなものを指します。
ディッキアの白い葉は、それ自体の色が白いのではなく、葉に白いトリコームが乗ることで白く見えています。
※トリコームの役割として「強い日光から葉を守る」「空気中の水分を確保する」など説は様々あるようです。
 
水やりが原因でトリコームが剥がれ、美しさが損なわれてしまうといった事態を防ぐためにも、水は葉ではなく根(用土)に与える方法をお勧めします。
 
 

タイミング

鉢の中の用土が乾き切ったタイミング、というのが水やりの一つの目安です。
 
鉢の中の水が完全に乾ききったかどうかの判断方法は、
(1)鉢を持ち上げ、その重さで判断する。
(2)鉢底から覗き込み、鉢底石の乾燥状態から判断する。
などがあります。
 
初めは難しく感じるかもしれませんが、継続的に育成を行っていく中で、ある程度の感覚は自然と身に付きます。
 
水やりチェッカー(土壌水分計)と呼ばれる用土に差しておくだけで、水やりのタイミングが分かる、という便利な商品も現在販売されていますが、前述したようにディッキア育成においてそこまで神経質になる必要はありません。
 
たとえ鉢の中の用土が乾き切っていなかったとしても、その事が原因で根腐れを起こして枯れてしまう、という事は発生しにくいです。
 

水の量

水やりを行う際の水量としては、鉢底から水が勢いよくボタボタと流れ出すくらい、たっぷりと与えて下さい。
 
水やりの目的として「水の補給」とは別に「鉢の中の空気の入れ替え」というものがあります。
 
植物の根は酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出します。
鉢底から水を流す事により、鉢の中の汚れや二酸化炭素を水圧により鉢底から外へ追いやる、というわけです。
 
鉢底から余分な成分を吐き出させ、水が乾くと同時に新しい空気が用土の隙間に入り込む。
そうやって根に新しい酸素を供給していく事で、根の健康状態を保ちます。
 

時間(季節毎)

・夏場に水やりを行う場合、早朝や夕方が好ましいです。
 
理由として、気温が非常に高い状況下で用土の水分量が多いと、鉢の中で蒸れを起こしてしまう為です。
※鉢の中がサウナのような状態になってしまうと、根が傷む可能性が高くなります。
 
午前中の早い時間に水やりを行い、気温と根に水を吸わせることである程度水分量を減らす。
または、夕方に水やりを行い、一晩かけて水分量を減らす。
そのどちらかで水やりを行う事をお勧めします。
 
・春~秋にかけては、特に水やりの時間帯を気にする必要はありませんが、用土の中の余分な水分を減らす、という観点からは、日中が好ましいです。
 
・冬場は温度が低い為、比較的暖かい日中に水やりを行う事をお勧めします。
 
 
以上が、ディッキアの水やりにおいての基礎知識となります。
 
前述しましたが、これらはあくまで目安となります。
 
日照条件や気候、品種、目的によって水やりの頻度や方法は異なるため、それぞれの育成環境での実践と検証が必要です。
 
ディッキアは他の植物に比べ成長が早く、育成方法の違いによる表情の変化を早い段階で観察することができます。
 
作り込むことの難しさや面白さを感じさせてくれる植物として、ディッキアの育成を楽しんで頂ければ幸いです。
 
 

関連情報

D.I.P.|Botanical Products Creation Crew

D.I.P.

Botanical Products Creation Crew
JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

屋号 D.I.P.
住所 〒815-0042 
福岡県福岡市南区若久3-8-4
営業時間 10:00~18:00
定休日 不定休
代表者名 志方 優輝
E-mail info@dipfukuoka.com

コメントは受け付けていません。