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Dyckia(ディッキア)の基礎知識

 

はじめに

D.I.P.ではビザールプランツと呼ばれる植物を中心コンセプトとして、商品の開発やデザインを行っています。
 
私がビザールプランツに魅了されたのは約8年程前のことで、現在では200鉢以上の多種多様な植物を育てています。
サボテンやアガベ、コーデックス、ユーフォルビアetc…
珍奇な形をした植物達の造形美や成長による変化は、育て初めて数年経った現在でも、目にする度に驚かされます。
 
 
また現在では珍奇な形をした新しい植物が続々と世に出てきており、植物愛好家としては嬉しい限り。
未だ見ぬビザールプランツとの出会いを求める旅路は、これからも果てしなく続きそうです。
 
それらビザールプランツの魅力は、やはり何といってもその珍奇な姿形にあります。
そしてその魅力を最大限に引き出す為の育成方針は植物によって異なります。
 
基本的に成長はさせず、現状のままの姿を維持することが育成目的の植物。
成長が遅く、年にミリ単位でしか動かない、緩やかに育てる植物。
一度失敗してしまったら修正が効かない為、慎重に育てる植物。
 
無機質な置物ではなく、生きて、日々変化する植物だからこその面白さ。
植物を育てる醍醐味は、珍奇で美しい姿を自分で「育て、作りこめる」事だと思っています。
 
私がそれらビザールプランツ育成の魅力の沼ににどっぷりと浸かる、その大きなきっかけとなった植物があります。
 
それが、ブロメリア科に属する多肉植物の一種、Dyckia(ディッキア)と呼ばれる植物です。
 
 
私が一番初めに買った記念すべきディッキアは、ただの草のような見た目でした。
 
刺はほぼ無く、肌は黄緑色。特徴という特徴のない、名無しのディッキア。
※玄関先によく植えられている’リュウノヒゲ’と呼ばれる植物に酷似した姿をしています。
 
当時はディッキアの流通量が少なく、その為結構な値段で購入したのですが、どうして数ある植物の中でそれを選んだのか自分でも不思議です。
数年経った今でもしっかり育てていますが、うーん…本当にディッキアなのかも怪しいレベルの代物です。笑
 
そうやって何となく手に取って購入した植物だったのですが、育て方などを調べていく中で様々な園芸品種のディッキアを目にし、その強烈な魅力に釘付けになっていきました。
 
ディッキアをきっかけに珍奇植物というジャンルを知る事となり、そうやってビザールプランツの深みに嵌っていく事になりました。
 
ただ数ある植物の中で、私がディッキアに魅了され続けているのには理由があります。
 
それは、ディッキアが「植物を育て、作り込む事の楽しさ」をとても顕著に感じられる植物だからです。
 
ディッキアは他の植物に比べ成長が早く、夏場は一週間もしないうちに顔が変わります。
育成の方針は、基本的に現状維持ではなく成長させ、その特徴をより顕著に出すことにあります。
その変化の過程の面白さ、そして自分の理想とする姿に育てられた時の達成感。
 
植物を育てる事、作り込むことの難しさや面白さを一番私に感じさせてくれる植物、それがディッキアです。
 

 

Dyckiaの基礎知識

Dyckia(ディッキア)はブロメリア科に属する多肉植物の一種です。
ブロメリア科は別名パイナップル科と呼ばれています。
 
つまり、ディッキアとパイナップルは親戚のような関係性、という事。
確かにそう言われてみるとパイナップルのクラウンは、ディッキアと近しい形をしています。
 
自生地は中南米周辺。
岩や砂利に根を下ろし、雨や霧などが多い、湿度の高い環境で育ちます。
 
その棘や荒々しい姿から、サボテンのような乾燥した地域で自生する植物、という印象を持つ方も多くいらっしゃいますが、実はそうではなく川辺に自生するほど水を好む植物です。
 
過酷な環境で育つ植物ですので、持ち合わせた生命力は非常に強く、育てる上で神経質になる必要はありません。
初心者でもある程度基礎知識があれば、綺麗に育てる事ができます。
 
見た目の特徴としてはロゼット状に広がる美しい葉の形状と、鋸歯(きょし)と呼ばれる棘。 
※ロゼットとは放射状や螺旋(ラセン)状の葉の様子。タンポポなど、葉を地面に放射状に伸ばしている姿をロゼットと呼びます。
鋸歯とは、葉の縁の形状の一種。ノコギリの歯のような棘状になっている形のことを指します。 
 
ただ、一重にディッキアといっても園芸品種によって様々な特徴があります。
白肌の品種、黒肌の品種、毛羽立った肌質の品種、滑らかな肌質の品種、棘が少なく短い品種、一方向に強い棘を伸ばす品種etc…
 
ディッキアの園芸品種は他のビザールプランツと比べてもかなり多く、更に年々増えています。
新しい品種が発見されている、というより人為的に新しく作られているものが大半です。
 
「作るってどうやって?」と思う方もいるかもしれませんが、実はこれがディッキアの面白い所。 
 
ディッキアは大きく原種と交配種(ハイブリット)に分けられます
原種とは自然に自生している在来種を指します。
ディッキアでは”goehringii(ゴエリンギー)”や”marnier-lapostollei(マルニエルラポストレイ)”が有名どころです。
野生のままの姿で、品種改良以前の姿をしています。
 
 
こんなにも美しい姿をした植物が山や川に自然に自生しているとは、本当に驚きです。
 
原種に対して交配種(ハイブリット)は人工的に原種を掛け合わせて作った、品種改良された植物を指します。
 
 
交配種の中でも顕著な特徴が表れたものには、個別の園芸品種名が付きます。
ディッキアの園芸品種は数多くあり、現在登録されている品種数は300を優に超えます。
 
※ディッキアの園芸品種名が公式として登録される流れとしては、BSI(Bromeliad Society International:国際ブロメリア協会)に登録申請を行い、公式認定が確定するとBCR(Bromeliad Cultivar Register:ブロメリア栽培品種登録)サイトに掲載される、という流れです。
 
※公式認定を受けたディッキアの園芸品種である、という意味でディッキアの商品説明欄に「BSI登録品種(BCR)公式認定」と記載される事もあります。
 
多種多様な特徴を持った交配種の中でも、私の一押しは”Heaven and Hell”という品種名の、赤葉に白く鋭い刺が特徴のディッキア。
名前も含め、男心をくすぐられる、強烈な魅力を持ったディッキアです。
 
BCRのサイトは様々な品種ディッキアの写真を見ることができるので、自分の好みのディッキアを探してみるのも面白いかもしれません。
 

最後に…

素晴らしい魅力を持った植物であるディッキアですが、ビザールプランツ界隈でディッキア愛好家はまだまだ少数派ではないかと思います。
 
「もっと多くの方にディッキアの魅力を知って欲しい」という想いで、これからもディッキアの育成方法や品種の紹介を記事として投稿していきたいと思っております。
 
それらの記事を通して、ディッキアに興味を持って頂ける方が一人でも増えて頂ければ、ディッキア愛好家としては喜ばしい限りです。
 
 

D.I.P.|Botanical Products Creation Crew

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JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

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