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Dyckia(ディッキア)の育成用土

 

 

 

はじめに

今回は植物育成において「日照」「水」「土」の三大要素の一つである「土」に関して。

 

従来のディッキアは、標高の高い山岳地帯や平地の岩の隙間や砂利に根を張り自生しています。

 

直射日光と乾燥、豪雨、栄養分の少ない土壌。

決して恵まれているとは言えない環境で逞しく成長していきます。

 

そういった背景からも、ディッキアの生命力は非常に強い事が伺えます。

故に、どのような用土配合でも「生かす」事は基本的に可能です。

(育成家様のお言葉をお借りすると「枯らす方が難しい」植物ですので)

 

しかし「ただ生かす」のではなく、「ディッキアを自分の理想とする姿に作り込む」という目的で育成する場合、用土の知識や育成環境に合わせた配合調整が必要となってきます。

 

この記事では「大きく育てる」「締めて育てる」の、それぞれの育成方針別に、おススメの用土配合を紹介しています。

 

しかし、適した用土配合は育成環境に左右されます。

(ある程度の共通点はあるものの)全ての育成環境に適した用土配合というのは残念ながら存在しません。

 

ディッキアを美しく育てる為に、自身の育成環境においてどのような用土の配合が適しているかを模索する作業は必要となります。

 

なので、読んで頂いた方が自身で意図を持った用土の配合ができるようになるために、この記事では用土の配合に必要な知識として「用土の種類とそれぞれの特徴」を記載しています。

 

自分の環境に適した用土を配合する作業は植物育成において楽しみの一つ。

 

「なぜその用土を入れるのか」「なぜその配合率なのか」という問いに答えられるようになれば、植物育成が深みを増し、より一層面白くなります。

 

「読んで頂いた方が自分自身の育成環境に適した用土配合ができるようになる」という目的で記事を書いていますので、ただおススメの配合を紹介するのではなく、理由や機能性に関してそれぞれ言及しています。

 

その為、例によって記事の量は若干多めです。笑

お時間ある際に読み進めて頂ければと思います。

 

「とりあえず、簡単でおススメの配合だけ知りたい!」という方は、記事の最後の方に記載していますので、そちらをご覧下さい。

※目次よりジャンプできます。

 

 

用土の種類と機能性

用土の配合を行う上で、それぞれの用土がどのような特徴・機能があるのかを把握する事は非常に重要です。

 

しかし、園芸用の用土は種類が多く、それらを把握する事は、初めは面倒に感じるかもしれません。

 

ホームセンターや園芸店で用土を選ぼうにも、何がどう違うのか分からず困った経験がある方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

御多分に漏れず私もその一人で、30分以上迷った挙句、とりあえず赤玉だけ買う、という情けない結果に終わる事も初めのうちは多かったように思います…。

 

しかし、実践の中で繰り返し使用していく事で、種類や特徴の知識は自然と身についてきます。

また、そうやって把握している用土の種類が多くなれば、育成が格段に面白くなります。

 

新しい配合を試して、新しい用土を試して、結果を観察して、また試して…。

なんとなくではなく、そこに理由や理屈があるからこそ、思うように育てる事ができた時の達成感は格別です。

 

では、それぞれの用土の説明に入っていきます。

※全て大抵のホームセンターや園芸店で揃える事のできる用土です。

 

・赤玉土 / pH:弱酸性

配合のベースとなる基本用土。保水性・排水性のあるバランスの良い用土。

※劣化による粒の崩れ(排水性の低下)を防ぐ為、硬質が望ましい。

 

・鹿沼土 / pH:酸性

赤玉と同様、基本用土として使用される。保水性・排水性のあるバランスの良い用土。

※劣化による粒の崩れ(排水性の低下)を防ぐ為、硬質が望ましい。

 

 

・ボラ土(日向土)・軽石 / pH:弱酸性

排水性の確保に使用される。粒が硬く、通気性・排水性を長期間持続する事が可能。

 

・腐葉土 / pH:中性~弱酸性

保水性・保肥性が高い。

 

・ピートモス / pH:酸性

保水性・保肥性が高い。

 

・マグアンプK

緩効性の化成肥料。用土に混ぜ込んで使用。

 

・ゼオライト

水質浄化剤。根腐れ防止として使用。

 

以上が簡易的な用土の機能説明となります。

それぞれの用土に関して、深堀りしようと思えばどこまでも深堀りできてしまうのですが、文量がとてつもない量になるのでここでは割愛させて頂きます。

 

▶pH(酸度)とは

植物の用土を調べる中でpH(酸度)という表記を目にすることがあるかと思います。

 

pHとは用土が酸性・中性・アルカリ性のどの化学性を持っているか、というものです。

 

一般的には多肉植物の育成において「中性~弱酸性」が適していると言われています。

逆に「アルカリ性」となると育成上、悪影響となると言われています。

 

個人的には雨ざらしで育てると植物が健康に育つのは、恐らくpHの影響(雨は弱酸性。よって、育成に適した化学性を持った水を植物が吸収する事となる)が大きいのではなかいと思います。

 

 

ちなみに、サボテンなどの多肉植物の育成用土はアルカリ性が適していると言われてる時期がありました。

その理由は、サボテンが自生している現地の用土がアルカリ性だったからです。

 

しかし、現在ではサボテンの育成は弱酸性~中性の用土が適していると言われています。

アルカリ性の用土はむしろ、サボテンの根の動きを悪くし、栄養素を吸収しにくくさせてしまうようです。

 

なぜ、このような酸度の認識の違いが起きたのかというと、確かに現地の用土はアルカリ性なのですが、現地で降る雨は酸性~弱酸性。

よって、アルカリ性と中和され、用土の酸度は弱酸性~中性となる。

という仕組みが知られていなかったからです。

 

育成目的による用土の配合

「Dyckia(ディッキア)の水遣り」の中でも触れましたが、ここでは「大きく育てる」「締めて育てる」という育成方針の違いによる用土の配合を紹介していきます。

 

前提として、育成環境や株のポテンシャルの違いによって適した用土の配合は変化します。

あくまで参考としてご理解下さい。

 

▶大きく育てる

ディッキアの成長速度を上げ、より早く大きく育てる為には「より多くの水を吸わせる事」が必要となります。

 

よって、育成に使用する用土としては「保水性」「保肥性」の二点に重点を置いた配合となります。

 

おススメの用土配合は、

 

赤玉土:4

鹿沼土:2.5

ピートモスor腐葉土:2

ボラ土(日向土):1

ゼオライト:0.5

マグアンプ:少々(ひとつまみ)

 

※用土のサイズは全て小粒を使用

 

水遣りの際に少し用土の上に水が溜まり、サーっと抜けていくのが目安。

保水性・保肥性が高い用土配合の為、株が水を良く吸い、成長促進効果が期待できます。

 

▶締めて育てる

棘や葉の密度を高めながらコンパクトに育てる為には、成長速度を落とし、じっくりと育てていく必要があります。

 

おススメの用土配合は、

 

赤玉土:3

鹿沼土:1.5

ボラ土(日向土):4

ピートモスor腐葉土:1

ゼオライト:0.5

マグアンプ:少々(ひとつまみ)

 

※用土のサイズは全て小粒を使用

 

水遣りの際に用土の上に水が溜まることなく底穴から抜けていくのが目安です。

 

元肥(植え付ける用土に入れ込む肥料)を最低限とし、水捌けを重視した配合となります。

徒長を防止する意図でも、株が吸う水量は最低限に抑える事を意図した配合です。

 

簡易的なおススメの用土配合

ディッキアを育てる上で「用土の配合が面倒…」という方に関しては、下記の配合がおススメです。

 

ゴールデン粒上培養土:5

ボラ土(日向土):5

 

最も簡単かつ、育成効果も期待できる配合です。

 

ゴールデン粒状培養土(サボテン・多肉植物用)

 

前述した用土配合に比べると、拍子抜けするほど単純な配合ですが、問題なく健康に育ちますのでご安心下さい。

※実際に私がディッキアを始めた頃は、この配合を使用していました。

 

最後に

以上が、育成するディッキアの育成用土の配合知識となります。

 

しかし、前述したようにディッキアは健剛な植物の為「ディッキアは水を好む植物」という前提さえ押さえていれば、枯らすことなく「生かす」事ができます。

 

なので、ディッキアを育成する上で用土の知識は「必ず必要」ではなく「知っているとより面白くなる」という認識で問題ありません。

 

気を張ることなく、自分のペースで少しずつ知識を蓄えて頂ければと思います。

 

「ディッキアをより美しく育てたい」と感じ「用土の配合を工夫してみよう」と思った際に、この記事がその一助となれば幸いです。

 

 

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JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

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