D.I.P.

小野瀬一 × D.I.P. Collaboration!!【前編】

 

 

はじめに

D.I.P.のプラスチック鉢のデザインコンセプトは「手に取るまでプラスチックとは思えない造形」

 

以前の記事「プラスチック鉢 デザインコンセプト」でも触れさせて頂きましたが、私は人を魅了してやまない造形は「陶芸」にこそあると考えています。

 

人の手が作り出す直線や曲線で成り立つ陶器は、千利休が唱えた「不完全の美」を体現するそのもの。

だからこそ陶器には人の理性ではなく五感に訴えかける、筆舌に尽くし難い圧倒的な魅力が宿ると考えています。

 

D.I.P.では「その五感に訴えかける陶器の造形美を、何とかプラスチックという素材に落とし込む事ができないか?」とあの手この手を使い、四苦八苦してきた訳です。

 

Plants : Aztekium hintonii / Plants Pot : Shinogi by D.I.P.

 

例えば、D.I.P.のプラスチック鉢の原型は全て、専門の陶芸家様にご協力頂き、私がデザインしたものを陶芸の手法である轆轤(ろくろ)によって作成頂いています。

 

その原型を基に独自の手法を用いてプラスチックにて成形し複製する、といった流れで商品を開発・作成しているのですが、その全ては「陶器が体現する不完全の美」をプラスチックという素材に宿す為。

 

不完全性に拘り、D.I.P.のプラスチック鉢はデータや機械を用いることなく、ほぼ全ての工程を泥臭く人の手によって作成してきました。

 

基本的にプラスチック商品は機械によって生産される中で、不効率の極みの様な生産手法を取っているのは、ひとえに陶芸家が作り出す陶器作品の造形美に憧れ続けてきたからです。

 

作り手の一方的なエゴ、といえばそうなのかもしれませんが…。

 

ただこの度、そのような偏執的な拘りと憧れが実を結ぶ事となりました。

 

それが、陶芸家である小野瀬一氏とのコラボレーションです!

 

陶器鉢の造形に憧れ続けてきた私にとって、この様な機会を頂ける事は、これ以上ない喜びと言えます。

 

小野瀬氏とのコラボレーション商品は既に販売が開始されており、ありがたい事に多くの方に手に取って頂いています。

 

反応として「プラスチックとは思えない」というお言葉も多くの方から頂き、本当に嬉しい限りです。

 

今回の記事では「小野瀬 一」という陶芸家に関して、陶芸家としての経緯や経歴、作品への想い・拘りを紹介させて頂きます。

 

そのデザインの由来や機能面としての鉢の構造への考え等々、普段表には出ない情報も多く盛り込んでいます。

 

※小野瀬氏曰く「NGは全くないから聞いた事何でも記事にしちゃっていいよ」との事でしたので、遠慮なく記事にさせて頂きました。笑

 

読んで頂ければ小野瀬氏の作品を手にする方に、より今後楽しんで頂ける内容となっておりますので、どうぞ最後までお付き合い下さい。

 

 

陶芸家になるまでの経緯

【プロフィール】

小野瀬 一(おのせ はじめ)

年齢:40歳

出身:茨城県

生年月日:1982年6月29日

作陶を開始した年:2018年~

工房場所:茨城県

 

工業高校の機械科を卒業し、そこから印刷関係の工場へ入社。

印刷機の操作を主に担当していた様ですが、実家が鉄工所を営んでいたことから、元々機械関係に興味があってその道に進まれたそうです。

 

そんな小野瀬氏が陶器に魅了される大きな転機となったのは、水戸の飲食店に来店した時のこと。

 

そこで使用されている笠間焼の食器の美しさに衝撃を受け、一気に陶器に対して興味が湧いたそうです。

 

個人作家の食器に魅了され、陶器コレクターとしてほぼ毎週にわたり笠間焼きの作家様の個展に足を運ぶ生活を送っていました。

 

そして2018年、小野瀬氏の陶芸に対して募った想いが爆発するように、ついに自らの手で陶芸作品を作り出す決意を固め、作陶の為の準備に取り掛かりました。

 

自身で倉庫を改造し、廃材で工房を造り、電動轆轤(ろくろ)と窯を分割払いにて購入し作陶を開始した小野瀬氏でしたが、陶器を作る事において、はじめは完成形よりその工程に興味があったようです。

 

もともと「もの作り」の家に生まれ、長年家でも職場でも機械に囲まれ生活してきた小野瀬氏にとって「機械と人の手でモノを作り出す」という事に対し面白さを感じていたようで「電動轆轤(ろくろ)を回すだけでワクワクした」と仰っていました。

 

今まで陶器マニアとして素晴らしい作品を目にし、触れてきた小野瀬氏の頭の中では既に「陶器の理想形」は完成していました。

 

課題は、それを如何に形にするか。

 

交流のある作家様達から様々なアドバイスを受け、陶芸を初めて2年間は会社勤めをしながら作陶を続けました。

 

そこから長い時間をかけて徐々に技術を身に着け、自分の理想に近い形を作り出すことができるようになった様ですが、それでも「まだ心の底から満足のいく作品はできていない」との事でした。

 

ちなみに、小野瀬氏が会社を辞め、陶芸の道に本格的に進むと伝えた時、周囲の作家様達からは「今までサラリーマンやってた方が違和感あったよ」という反応が返ってきたそうです。笑

 

 

陶器鉢に関して

【1】機能としての拘り

小野瀬氏が植木鉢の機能性を追及するようになった経緯としては、周囲で植物育成に対して苦手意識を持っている方が多かった事に起因します。

 

植物の育成を鉢の機能性を高める事によってサポートできないかと考え、研究をを開始。

 

そのような経緯がある為、小野瀬氏の陶器鉢は「植物を育成する鉢」としての機能面を優先しデザインされています。

 

植物が健康的に育つ環境を鉢で作り出す。

 

その目的に沿った機能面を有した鉢を作り出す為に、小野瀬氏はビザールプランツのAgave(アガベ)に焦点を当て、色々調べられたそうです。

 

その結果、アガベを健康的に美しく育てる為に必要な機能は「通気性」「水捌けの良さ」「適度な鉢の内容量」の三点だと考えました。

 

まず、水捌け根腐れ防止や徒長を防ぐ為に、プラスチック鉢の構造を参考にして、鉢底にスリット構造を採用。

通気性を確保し、鉢内部の土が乾きやすい、更には根詰まりの原因となるサークリングを防止する仕組みとなっています。

 

また、無駄な水が鉢の外へ流れ出易くする為、鉢の内部をストレート構造(内側に入り込まない、抜け感のある構造)にしています。

※内部のストレート構造に関しては、根鉢になった際も根が鉢に引っかかる事無く植え替えがし易い様に、という意図も含まれています。

 

 

余計な水分量を確保しないよう、小野瀬氏の鉢は外観と比べ、鉢の内容量(内部)が狭い造りとなっています。

 

アガベを締まった形に育成する為には、小さめの鉢に植え付ける事が各所で勧められていますが、そうなるとアガベ本体と鉢のバランスがちぐはぐになってしまう、といったデメリットがあります。

 

しかし、小野瀬氏の鉢は外観と内部で差異を設けた構造となっているため、外観として適したサイズ感で仕立てられ、尚且つ締めて作り込む事が可能です。

 

更に、アガベは直根性(根を縦方向に下に伸ばす)が強い為、根を深く伸ばすことのできる縦長の鉢が適していると言われています。

 

小野瀬氏の鉢の形状が上が大きく開き、下に絞っている縦長の形状をしているのも、そういった理由があってのこと。

 

それら、数多くの機能が小野瀬氏の鉢には組み込まれています。

 

アガベのファン層から絶大な人気を誇る小野瀬氏の鉢。

 

観だけでなく育成面において理想的な環境作りを行うことができる構造が人気を集める一つ大きな要因となっています。

 

→小野瀬一 × D.I.P. Collaboration!!【後編】へ

 

 

D.I.P.|Botanical Products Creation Crew

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Botanical Products Creation Crew
JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

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