D.I.P.

小野瀬一 × D.I.P. Collaboration!!【後編】

 

【2】外観デザインへの拘りとそのルーツ

小野瀬氏の代表的な作風である表面を筋の様に削る手法。

 

これは、陶芸において鎬(しのぎ)と呼ばれる手法に分類されます。

 

鎬(しのぎ)は日本の伝統的な陶芸技法の一つで、ヘラやカンナ等の道具を使用し、素地の表面を削り、美しい模様を作り上げます。

 

小野瀬氏は陶芸を始めた当初、この鎬(しのぎ)技法の第一人者と呼ばれる方の下で修行を行い、技術を身に付けたそうです。

 

ただ、鎬(しのぎ)の技法に関しては、様々な表現が存在します。

短く細かく削られたもの、斜めに削られたもの、不規則に削られたもの…。

 

数多くある鎬(しのぎ)の表現の中で、小野瀬氏の作品の特徴は、長く直線的に下まで伸びていく鎬模様(しのぎもよう)。

 

この鎬模様(しのぎもよう)の発想の起点となったものが、実は古代ローマやギリシャ神殿の柱のデザインだそうです。

 

パルテノン神殿等の柱に用いられている長く直線的な模様、これこそが小野瀬氏の作品デザインの由来となっています。

 

※陶芸を始める以前より図書館で借りてきた本をコピーし、切り抜きをノートに張り付けてオリジナルの本を作るほど、小野瀬氏は古代ヨーロッパ建造物のデザイン性に対し非常に興味を持っていたそうです。

 

古代ヨーロッパの建造物のデザインは多岐に渡り、細部の違いを挙げるとキリがない程の多様性が存在します。

ただ、その中でも「柱のデザイン」一点を見ると、そう違いは見られず、寧ろ共通のデザインとして使用されている様に感じます。

 

その点に普遍的なロングライフデザインの要素を汲み取った小野瀬氏が「長く生活に寄り添う、飽きの来ない美しい造形美」として自身の陶芸作品に落とし込み、現在の代表的な鎬模様(しのぎもよう)となりました。

 

小野瀬氏のロゴマーク「一」の背景には、荒目の粘土に鎬(しのぎ)模様を施した際の削り跡が反映されています。

 

また、小野瀬氏の鉢の特徴の一つとして、その色味が挙げられます。

 

 

落ち着いた艶のない金属的な質感。

 

それらは鉢を形作る粘土の色味ではなく、釉薬(ゆうやく)というガラス質の膜によって表現されています。

 

小野瀬氏の作品の魅力の一つである、絶妙な主張で植物を演出するこの色味。

 

使用されている釉薬は小野瀬氏が独自に配合・調整を施したものなのですが、実はそこにも機能面としての工夫が凝らされています。

 

通常、ガラス質の要素が強い釉薬になると、鉢の表面を完全にコーティングしてしまい、鉢の側面からの通気性が確保し辛くなってしまうというデメリットがあります。

 

しかし、小野瀬氏の鉢に使用されている釉薬はガラス質の要素が非常に少なく、化粧土(けしょうつち)と呼ばれる土の要素が強い配合。

 

そのような通気性へのデメリットが極力抑えされるよう調合された釉薬(ゆうやく)となっています。

 

またデザイン面として、鉢表面の鎬模様(しのぎもよう)の線を出す意味でも釉薬は薄めに掛けられており、これらの工夫により鉢の表面からの揮発性を確保し、余計な水分が鉢の外部に出やすい構造となっています。

 

※作陶の際に使用されている粘土も土の目が荒いものを採用しており、肉眼では判別できない程の微細な土同士の隙間が、鉢表面からの余計な水分の揮発を促す構造となっています。

 

 

D.I.P.とのコラボレーションに関して

小野瀬氏が機能面・デザイン面での拘りを詰め込んだ植木鉢。

 

想いの詰まった貴重な作品を、この度D.I.P.にてプラスチック素材で再現させて頂きました。

 

左:D.I.P作成(プラスチック素材)/ 右:小野瀬氏作成(陶器鉢)

 

小野瀬氏にとって、今回のコラボレーションに対してどのような想いがあったのかお話を伺いました。

 

Q:D.I.P.にてプラスチックで作品を再現しようと思ったきっかけは?

 

A:コラボレーションの提案をD.I.Pさんから貰って、話の第一印象としては「へえ、面白いな」という感じでした。 

 

そこからD.I.P.の商品をサンプルで送って貰ったんですけど、手に取った時にその再限度に驚きましたね。

 

手彫りの線や轆轤目(ろくろめ)等も再現されていて、これならやってみても良いかな、と思いました。

 

自分一人じゃどうしても数が作れないので、なるべく多くの人に自分の陶器を手に取って使って貰いたいというのがそもそもあったんですよ。

 

D.I.P.さんの鉢は正確には自分の作ったものではないんだけど、それにかなり近い形で手にして貰えるかな、という期待がありましたね。

 

あとは、D.I.P.さんが陶芸に詳しかったから。笑

 

単にビジネスの為にやりたいというより陶芸の良さとか、それをプラスチックの鉢にどう落とし込むかみたいな所に気持ちがあったので「それならやってみるか」と踏み切りました。

 

それに単純に、自分の作品がプラスチックになったらどういう感じになるのか、っていう興味があったんですよね。

 

Q : プラスチックにする事に対して、抵抗はありませんでしたか?

 

A : 全くなかったですね。

 

同じ形のものでも、素材が違うので。

 

捉え方として、例えるなら同じ料理でも和食とイタリアンのような立ち位置かな。

料理としての違いはあるけど、どっちも美味しい、みたいな。笑

中華料理とフランス料理くらい違いがあると思うんですよ。

 

陶器とプラスチックはそれぞれにメリット・デメリットがありますし。

 

抵抗は全くなかったですし、寧ろ楽しみでしかなかったです。

 

自分のフィギュアができるような感覚ですかね。

 

そもそも自分は工業系の出身なので、素材が違ったらどんな感じになるのかすごく楽しみで、なんか、こう、ワクワクする感じでしたね。

 

Q : 実際に小野瀬氏の鉢のプラスチックモデルを手にしてみてどうでしたか?

 

A : 本当にまんまだな、という感じ。笑

期待通りに自分の作品が違う素材で生まれ変わって、嬉しかったですね。

実際に手にしたお客様からの反応も良くて、それも嬉しかったですね。

 

 

D.I.P.として、個人陶芸家様とのコラボレーションは小野瀬氏が初となります。

 

正直、小野瀬氏にプラスチックで作らせて頂けないかとご提案をさせて頂く際「このような事を言ってしまっては、失礼にあたるのでは…」と内心ひやひやでした。

 

しかし、そんな私の不安をよそに、小野瀬氏は「面白そうだね!」と非常にフランクにお応え頂きました。

 

改めて、このような貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。

 

小野瀬一 × D.I.P. Collaboration Plants Pot

 

最後に

小野瀬氏のこれからの作家活動に関しては、しばらくは現在の代表作である鎬(しのぎ)の技法を用いた作品の質の向上に努めていかれるとのことでした。

 

自身の作品に対しまだ納得のいかない部分も多く、現状はガムシャラに代表作の作品作りに専念されるようです。

 

窯を焚き、作品が出来上がる度に反省点が浮き彫りになるらしく、それらの課題に階段を上るようにして取り組む事が楽しくて仕方がない、といった様子でした。

 

ただ現状の技術を研磨していくと同時に、鎬(しのぎ)の技法とは別の方向に作品の幅を広げていく事も考えられており、その時々で興味を持った技法を用いて作陶されていくようです。

 

そう話す小野瀬氏は心より作陶を楽しまれている様子で、話を聞いているだけで、もの作りに携わらせて頂いている私としても胸が熱くなる想いでした。

 

D.I.P.とのコラボレーションも継続していきたいという嬉しいお言葉も頂いており、これからどのような作品が生まれていくのか、私自身も楽しみでなりません。

 

最後に改めて、夢のようなコラボレーションの機会を頂き、本当にありがとうございました!

 

また、商品を手に取って頂いた多くの方々にも、心より感謝しております。

 

大好きな植物業界やもの作りに携わらせて頂けているのは、D.I.P.の商品を手にして使って頂いている方々のおかげです。

 

本当に、感謝してもし足りない想いです…。

 

今後とも、植物を育てる楽しさ、面白さを皆様と共有できればと願っております。

どうぞ宜しくお願い致します。

 

 

D.I.P.|Botanical Products Creation Crew

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Botanical Products Creation Crew
JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

屋号 D.I.P.
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