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Dyckia(ディッキア)の植え替え方法

Mating details : (’Baphimet Horns’×’Squid’)×’ ‘Brittle Star’ #3 DO33 / Breeder : Q from Thailand

 

はじめに

植え替えはディッキアを育生していく中でも大きな楽しみの一つ。

 

子株や未完成の状態から大切に育て上げたディッキア。

 

育成用の鉢から、仕立てる為の鉢へ植え替えるだけで、そのディッキアの印象が大きく変わる事も多々あります。

 

ただし前提として、植え替えはディッキアに対し多少なりとも負担がかかるもの。

 

正しい時期・手順で植え替え、管理を行わなかった場合、植え替え後に調子を崩してしまう事もあります。

 

この記事ではそのような事態を防ぐため、植え替えの手順や注意点、植え替え後の管理方法を紹介していきます。

 

Name : ‘Throwing Star’ / Breeder : Sueb from Thailand

 

植え替え時期と頻度

まず植え替えに適した時期に関して。

 

ディッキアの植え替えは基本的には成長期である春~秋にかけて行います。

 

ただ、その中でも特に植え替えに適した時期は春~梅雨時期(4月~6月)にかけて。

 

植え替え時にディッキアに負担がかかる事で、植え替え後しばらくはディッキアの成長は止まります。

 

成長時期の早い段階で負担のかかる植え替えを終える事で、作り込みに割く期間を長く取ることができる為です。

 

次に、植え替えの頻度について。

 

ディッキアの植え替え頻度は基本的には一年に一度植え替えを行うのがおススメです。

 

植え付けられている鉢の大きさによりますが、ディッキアは成長速度が早い為、根の張りも早く、長期で放置すると根詰まりを起こす可能性があります。

 

根詰まりを起こすと根から水を上手く吸い上げることができなくなり、株の調子を崩す事に繋がります。

 

一年に一度が厳しい場合でも、二年に一度は植え替えを行ってあげるようにして下さい。

 

Breeder : BONE PLANTS from Japnam

 

植え替え作業を行う場所・準備物

ディッキアの植え替えは、直射日光の当たらない環境で行います。

 

理由として、根は通常は用土の中にあるため、数分直射日光に晒されると枯死します。

 

また、ディッキアの植え替え時に用意するものは下記となります。

 

①植え替え用の鉢

②用土

③ハサミ

④ゴム製手袋

⑤ピンセット

 

 

植え替え手順

基本的な植え替え手順は6段階。

 

①ディッキアを鉢から抜く

②根から用土を落とす

③余分な根の処理

④子株・下葉の処理

⑤植え付け

⑥水遣り

 

それぞれの作業を行う上での注意点は下記となります。

 

①ディッキアを鉢から抜く

 

 

株が自然と抜けるように鉢を傾け少しずつ用土を落としながら行います。

 

なるべくディッキアに負担をかけないように、植え替え前は水遣りを控え用土を乾かしておきます。

 

長期間植え替えを行っていない株は根鉢と呼ばれる鉢の中に根が詰まった状態となっているため、その際は鉢を叩きながら用土を落としていきます。

 

②根から用土を落とす

 

 

ピンセットを使い根から用土を落とします。

 

その際、なるべく根を傷つけないように行います。

 

※鉢から抜く際や用土を落とす際に取れる根に関しては根の機能を果たしてないものが多く含まれるため、気にせずとも問題はありません。

 

③余分な根の処理

 

基本的には根を触る必要はありません。

 

但し、鉢に根が入りきらない場合は枯れていると思われる根を切っても問題はありません。

 

生きている根と枯れてる根の見極めは、生きている根は「瑞々しく色は黄色がかっており、先端は白い」もの。

 

生きている瑞々しい根

 

ただ仮に生きている根を切ってしまったからといって、株にとって大きなダメージとなることは少ないため神経質になる必要はありません。

 

※勿論、切り過ぎには注意です。

 

機能を終え、枯れた根

 

④子株・下葉の処理

 

子株の詰まった根本

 

群生に仕立てたい、または子株が充分に育っていない場合、子株はそのまま放置でも問題ありません。

 

但し、子株が充分なサイズに育っている場合は親株・子株の成長を共に妨げる為、この時点で子株を取ることがおススメです。

 

子株の収穫として適したサイズ感は幅1.5~2cm、高さ3~5cm程度。

 

親指程度のサイズ感となります。

 

収穫に十分適したサイズの子株

 

また、子株を取る際はハサミなどを使用せず、指で株元を抑え左右に揺らしながら取ります。

 

子株の処理が済んだら、下葉の処理に進みます。

 

完全に枯れている下葉はできるだけ株元から剥がすように取り除きます。

 

枯れた下葉が付着した株元
 

途中まで枯れている葉や植え付けの際に邪魔になる葉はハサミを使って取り除きます。

 

その際、切り口が瑞々しい場合、菌が入る可能性もありますが、経験上そのまま植え付けて枯れた事例はほぼありません。

 

枯れた下葉を取り除いた株元

 

⑤植え付け

 

 

鉢の中心に株を置き、用土を隙間から流し込んでいきます。

 

植え付ける鉢のサイズは株より一回り程度の大きさのもの。

 

但し、同じサイズ感の鉢でも問題はありません。

 

植え付ける深さは株元が見えなくなる程度。

 

株が安定する深さまでしっかりと植え付ける。

 

その際に、下葉が用土に埋まる場合もありますが問題ありません。

 

下葉が鉢の縁に引っ掛かり、株元が用土から浮いてしまう場合は下葉を処理し植え付けるようにします。

 

化粧土を敷いて、植え替え完了

 

⑥水遣り

 

水遣りは植え付け直後に鉢底から出る水が微塵がなくなり、透明になるまでたっぷりと行います。

 

 

他のビザールプランツは直後に水遣りを行わないことも多いですが、生きている根を生かしたままの状態を保つ目的で水遣りを行います。

 

植え替え後の管理(管理場所・水遣りの頻度)

植え替え後のディッキアの管理場所は「直射日光の当たらない、半日陰(明るい)」で管理を行います。

 

 

水遣りは腰水管理、又は表面の用土が少し乾いてから。

 

用土が完全に乾かないように注意してください。

 

通常管理への切り替え

通常管理への切り替えとして必要となる期間は目安として約二週間。

 

通常管理へ切り替え後、株の様子を見ながら徐々に馴染ませていきます。

 

「葉の色が赤くなる」「葉が閉じる」といった変化が見られる場合、再度植え替え直後の管理に戻します。

 

赤く葉が閉じた状態のディッキア

 

そういった株の変化は根が上手く機能できておらず水を上手く吸うことができていないというサインです。

 

最後に

 

言ってみれば、植物の植え替えは人にとっての「手術」にあたります。

 

栄養や水分を取り込む為の植物にとっての口や内臓が根にあたります。

 

植え替えはどうしてもその根を切る事となり、株にストレスをかける行為。

 

植え替え後の管理は「入院」であり、術後経過を見守る。

 

そして、「退院後」も診察を行う必要があります。

 

そして、異常がみられた際は「再入院」させるわけです。

 

人と同じく成長し、変化する生物であるディッキア。

 

健康に美しく育生するために、適切な管理と処理を行って行くことが重要となります。

 

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Dyckia(ディッキア)の管理や育成方法で困ったこと、個別に聞きたい事があった際はInstagramのBONE PLANTSへのダイレクトメッセージにて随時対応しております。

 

BONE PLANTS ACCOUNT→ https://www.instagram.com/bone_plants_fuk/

 

些細な事でも構いませんので、遠慮なくご連絡下さい。

 

なお、自身の育成株についての質問の場合は写真を添付頂けると幸いです。

 

宜しくお願い致します。

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JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

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