D.I.P.

プラスチック鉢の制作手法

 

 

はじめに

D.I.P.のオリジナルプロダクトとして最も多くの方にご使用頂いているプラスチック鉢。

 

そのデザイン性や素材の質感から、

 

「どうやって作っているのか?」

「どんな機械を使っているのか?」

 

など、ご質問頂くことが多くあります。

 

今回それらの疑問に応えるべく、D.I.P.のオリジナルプラスチック鉢が生まれた経緯から制作手法に至るまでを紹介していきます。

 

D.I.P. Original Plastic Pot

 

プラスチック素材に至るまで

「オリジナルのデザインで鉢を作りたい」

 

ビザールプランツの存在を知り、そう思い立つまでにあまり時間はかかりませんでした。

 

ホームセンターで買ったテラコッタ鉢をペンキで塗ってみたり、ポスカで缶にイラストを描いてみたり。

 

初めうちはそれで満足していたのですが、少しすると段々と物足りなくなり「やるなら圧倒的なクオリティのものが作れるようになりたい」と考えるようになりました。

 

オリジナルで鉢を作る為には何の素材を使ってどうすればいいのか?

 

その時、自ら鉢を作る上で一番現実的だったものは「陶器鉢」でした。

 

しかし陶芸に対してなまじ知識を持っており敬愛の対象としていた自分にとって、

 

「陶芸技術の研鑽には数十年の絶え間ない努力が必要であり、今更自分が手を出す領域ではない」

 

という強い想い込みのようなものがありました。

 

次の選択肢として挙がったのが「コンクリート鉢」。

 

しかし、その重さと細部の成形の難しさ、また素材の特性を調べると、植物育成への影響や塗装も含めた劣化の速さへの懸念が多く、諦めざるを得ませんでした。

 

数々の素材を試しては失敗を繰り返し、着いたのが現在の合成樹脂、つまりプラスチック素材。

 

鉢という土を入れ水をかけ、屋外で長期に渡って天候に晒されるという使用環境が前提のプロダクト。

 

その素材が持つ強度や摩耗性、弾性はそれらの条件に耐えうる、最適なものでした。

 

Crack Arcs Pot &Crack Loutus Pot

 

制作工程

プラスチック鉢の制作工程は陶芸でいう「鋳込み(いこみ)」に類似します。

 

陶芸の「鋳込み」は原型から石膏型(せっこうがた)を取り、その中に液状に加工した土を流し込み成形する技法を指します。

 

D.I.P.が行っている手法も「鋳込み」と同じく、原型を作成し、それを基に型を作ります。

 

その中に原液を流し込み硬化させ、その後表面を削るなどして細部の調整を行い、完成します。

 

原型から完成までの全過程において、機械はほとんど使用せず、全て職人の手作業により制作を行っています。

 

Studs Top Arc Pot

 

デザイン

上記の制作工程の中で記載したように「鋳込み」には原型となる鉢が必要となります。

 

デザインに関してはその全てを原型段階で終え、成形後に新たに付け足すことは現状ありません。

 

つまり、D.I.P.のプラスチック鉢は「一つの塊」として成形されます。

 

D.I.P. x COYOTE PLANTS Collaboration Pot

 

デザインによっては後付けする方が楽なものもありますが、その場合どうしても後付け部分の強度が落ちるため「一つ塊として成形する」事に拘って全体デザインを設計しています。

 

また、原型は陶器で作成します。

 

デザイン案を基に、陶芸歴15年以上の腕の確かな職人に轆轤(ろくろ)を回して頂き、基礎となる鉢形を成形。

 

その後、鎬(しのぎ)模様やスタッズ、ヒビ割れなどの装飾を行い、1200℃以上で焼成。

 

鉢の模様やデザインはその殆どが陶芸界の伝統技法や現代的な手法を基にしています。

 

新しすぎず、古すぎず。

 

時代の研磨に耐えてきた技法を基に、温故知新の精神でデザインの設計を行っています。

 

D.I.P.のデザインはゼロから一を作り出すものではなく、二を三に、三を四にと一歩前進させていくものである事を信条としています。

 

Shinogi Vase Pot

 

機能性に関して

機能性は通常のプラスチック鉢と大きくは変わりません。

 

水はけ、軽さ、落としても割れることのない強度、それらを総合した扱いやすさ。

 

ただ実際にD.I.P.のプラスチック鉢を手に取った際、通常皆様がホームセンター等で購入し使用されているプラスチック鉢とは大分違う印象を持たれる事が多いです。

 

手に取った際の違和感。

 

それは本来のプラスチック鉢が内包しているデメリット部分を解消する為、D.I.P.が独自に取り入れている構造的な要素に起因します。

 

プラスチック鉢の機能面での不安要素は大きく二つ。

 

まず、その軽さ故の安定性なさ。

 

そして素材の薄さに由来する耐久性なさ。

 

それらの観点よりD.I.P.のプラスチック鉢は、プラステラなど通常のプラスチック鉢の約5倍か、またはそれ以上の厚みを持たせています。

 

素材に厚みを加える事で「適度な重さ」「耐久性」をプロダクトに持たせることができるのです。

 

また、鉢内部の構造にも一工夫が凝らされています。

 

プラスチック鉢の鉢内部の側面。

 

その曲線は底穴に向かっており、滞りなく水が流れ出す仕様となっています。

 

今まで約1万もの鉢を作成する中で、ご使用頂いている方からの多くのご意見、また自身でも実際に使用し、改善点を浮き彫りにしてきました。

 

現在では、D.I.P.のプラスチック鉢をご使用頂いている方から「水はけが良い」「根張りが良い」「丁度いい塩梅の重さ」と嬉しいお言葉を頂けるようになっています。

 

今後も「お客様の声を傾聴し、改善案を即プロダクトに反映させていく」という姿勢を崩すことなく、日々尽力して参ります。

 

Studs Top Arc Pot

 

最後に

D.I.P.はマンションの一室で、内向的で引き籠りがちな一人の植物フリークから始まりました。

 

当初より、D.I.P.のプロダクト開発、デザインコンセプトとなるキーワードは、Rock / Art / Traditional / Minimalの4つ。

 

「伝統的な手法やデザインを基にして、ワンハンドサイズの世界感を独自に表現する」

 

大好きなロックミュージシャンが奏でる音楽のように、目で見て手に取った人がドキドキするような、そんなプロダクトを自分の手で作りたい!

 

その一つのエゴだけを抱え、2021年、それまで時間と労力の全てを費やしてきた会社を辞めました。

 

辞めたその日に一人部屋の隅で携帯を握りしめ、SNSのアカウントを立ち上げ「D.I.P.」と名付けました。

 

計画もない、知名度もない、貯金もない、実績もない、突出した技術も資格もない。

 

そんな中で、夢中でプロダクトの制作にのめり込み、気付くと2年以上が過ぎていました。

 

ブランド開始当初からのコンセプトに沿って制作したプロダクトに、ありがたい事に多くの方が賛同頂き、現在のD.I.P.は成り立っています。

 

今まで嬉しいお言葉も沢山頂き、厳しいお言葉を頂くことも多々ありました。

 

何も分からない中もがき続け、初めはたった一人で始めたD.I.P.も、今ではチームとして動いています。

 

これからD.I.P.がどう変化していこうと、初心を忘れる事なく、現状に満足する事もなく、いつの時代も「ビザールプランツを愛して止まない仲間達と共に歩んでいく」そんなブランドである事を目指し、挑戦し続けて参ります。

 

D.I.P.|Botanical Products Creation Crew

D.I.P.

Botanical Products Creation Crew
JPN.FUKUOKA | since 2021.

ビザールプランツと呼ばれる珍奇植物を中心テーマに植物用品をデザイン・制作するクリエイターチーム。"人の手で生み出す造形"をコンセプトにプラスチック鉢や陶器鉢、シルクスクリーン、刺繍ポスターなどを商品展開。Dyckia・Agave・Caudex・Euphorbia・Cactus・Bonsai…。多種多様な美しい造形をした植物のある暮らしをデザインする。それが私たちの仕事です。

屋号 D.I.P.
住所 〒815-0042 
福岡県福岡市南区若久3-8-4
営業時間 10:00~18:00
定休日 不定休
代表者名 志方 優輝
E-mail info@dipfukuoka.com

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